雪山登山とは
雪山登山をはじめたい方へ
アウトドアショップや登山用具店へ行くと、必ずといっていいほど雪山のポスターが貼ってあります。そして、登山道具を扱う各メーカーやアウトドア関係会社のパンフレットなどにも雪山の風景はよく目にします。登山とは関係の無い会社のテレビCM等でも雪山の風景を使っていることは珍しくありません。青い空と白い山は、私たちに新鮮で爽快なイメージを与え、その領域は人間が立ち入ることがとても困難なことを誰もが想定できることから、神聖なイメージもあるでしょう。そんな場所へ行ってみたい、歩いてみたいという人も大勢いるのではないでしょうか。特に、登山者やアウトドア好きな人なら、雪山登山に憧れを抱いている人は多いと思います。それでは、「雪山登山を安全に楽しむためには、どうしたらよいのでしょうか?」ここでは、雪山登山を安全に行うための重要な3つの要素である、道具、技術、経験についてお話します。
まず道具ですが、雪山登山に見合った道具を用意しましょう。道具は、私たちを守ってくれる強い見方です。この道具によって登山そのものが快適にも不快にもなります。時には、生死に関わることもありますので、適切な道具を使うことはとても重要です。例えば靴に関してですが、革も厚めで見た感じ強そうな靴だからということで、冬山仕様でない靴を雪山で代用すると、思いがけない事故につながります。天気がよければ問題無くても、天候が崩れ予定外のビバークを強いられた時に足が冷えてしまっていては、睡眠をとることもままならなくなります。このことで、翌日の山行に支障をきたすことになり、一人の体調不良や事故がパーティ全体の事故を巻き起こすことにもなりかねません。ましてや、凍傷にかかってしまえば命すら危なくなります。また、登山靴は、見た目がしっかりしていても、意外と靴底を柔らかく造ってある物もあります。この場合12爪のアイゼンをつければ、すぐに靴から外れて滑落してしまいます。スパッツ等も気を付けましょう。夏山用のスパッツと雪山用のスパッツでは、見た目は似ていても造りに大きな差があります。夏山用の物は、薄手のレインウエアやトレッキングパンツの上に着用するものですから、太目にはできていません。しかし、雪山では、プラスチックブーツやスノーパンツの上から着用するので、太さが異なります。また、アイゼンなどで引っ掛けて転倒しないよう、様々な細工がほどこされています。雪山の経験を積んで行くうちに自分なりの道具の使い方が定着してくると思いますが、最初はお店の方と相談しながら適切な道具を揃えましょう。
次に技術ですが、テントの張り方、テント内での過ごし方、歩き方等、山での基本的なことも夏山と雪山では異なる点が多くあります。いきなり、雪山へ出かけるのではなく、事前に雪上でのトレーニングを行い、実際に色々なことを経験しておくことはとても重要です。勿論、ピッケルを使っての滑落停止技術やロープワーク、また、それに伴うハーネスやカラビナ類を正しく理解し、使えるようになっておくことも重要です。頭で理解していても、実際に事故に遭遇したときや、厳しい環境の中では、思ったように行動できません。まずは、雪山で必要な技術を安全な場所で何度も繰り返し、体で覚えておきましょう。しかし、何をトレーニングしたらよいのか分からないのが現状ですから、経験豊富なリーダーやガイドさんに同行してもらい、実際の雪山を想定してトレーニングしましょう。
最後に経験ですが、これは、雪山へ行くしかありません。しかしながら、いきなり初心者同士で雪山へ出かけるのではなく、前にも述べたように、適切な道具を揃え、トレーニングを行い、自分のレベルにあった山へ出かけましょう。最初はトレーニング同様、経験豊富なリーダーやガイドさんに同行してもらい経験を積んでいくのがよいと思います。体力があるから、夏山は長年やっているからと過信してしまうと、思いもかけない事故につながります。しかし、いつまでも、人の力に頼っているのも危険なことですから、リーダーやガイドさんに同行してもらっても、自分の責任において行動していくことが、色々なことを学ぶ近道だと思います。
以上のことを参考にして皆さんも雪山の素晴らしさ、魅力を楽しんでください。春夏秋山とは違った山の魅力が雪山にはあります。雪山での景色、達成感は、言葉では言い表せない素晴らしさがあります。しかし、その領域は、誰でも気軽に立ち入れる場所ではありません。危険なことも多々あり、確実な知識と技術が要求されます。それゆえに、雪山登山は登山者の憧れでもあり、目標ともなっているのです。また、雪山登山を行うことは、登山者としての誇りでもあり、非常に価値ある登山と言えるでしょう。今シーズンから雪山登山を行う方も、既に経験されている方も、雪山登山を行っていることの誇りをもって、道具、技術、経験を充実させ、安全で楽しい雪山登山を行っていきましょう。
YFクラブでも、毎年雪上トレーニングや幾つかの雪山登山を行っています。 また、ご希望の方には、無料の「雪山登山説明会」も行っていますので、 ご興味のある方は是非、ご参加ください。
雪山登山の装備について
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マウンテンウエア(シェル) 貝を意味するシェルは文字通り一番外側に着るもので、風や雪から体を守ります。素材の主流は、防水性、透湿性に優れたもので、手触りはレインウエアと違ってザラっとしています。商品によって袖口やフード、裾などにいろいろな工夫が凝らされており、好みに合ったものを選ぶといいでしょう。通常、雪山に入るときは天候にかかわらずパンツは常に履いていますが、風雪の強くないときは、ジャケットは脱いで歩くこともあります。
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手袋 防水性の高いオーバーグローブと保温性のあるインナーグローブを重ねて着けます。インナーの下にさらに薄い手袋をしていると、細かい作業のときに便利です。オーバーグローブとインナーがセットになった商品もありますが、オーバーグローブにウールの手袋をインナーとして使用する人もいます。小さすぎると、指先が手袋の先端に当たって冷たくなってしまいます。
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帽子 耳が隠れ保温性の優れたものが必要です。ウールなどの素材の内側にフリースを使用しているもの、ウィンドストッパーを使用して防風性を高めたものなどがあります。
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登山靴 防水性、保温性が高く、靴底が硬く12爪(足の小さい場合は10爪)アイゼンが装着できる雪山専用の登山靴です。皮製、プラスチック製の商品があります。
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登山靴 夏の高山縦走に使用する程度の靴は、ある程度、靴底が硬くアイゼンの装着ができますので、雪の低山まででしたら兼用できます。ストラップで取り付けられるアイゼンと共に使用可能です。
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スパッツ アイゼンやピッケルがあたっても簡単に切れないよう、雪山用のスパッツは夏のものよりも厚手にできています。雪山用の靴は大きいので、スパッツのファスナーが閉まらない、ということならないようサイズを確認しましょう。
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アイゼン(12爪) ワンタッチで付けられるクランプオン・タイプと、ナイロンテープで靴に固定するタイプがあります。モデルによっては靴に合わないこともあるので、お店には実際に雪山で履く靴を持っていった方が無難です。専用のプレートを付けると、靴底に湿った雪が付きにくく、煩わしさを軽減してくれます。
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アイゼン(10爪) 靴のサイズが小さい(23cm以下)方は、12爪では靴底の狭いスペースに爪が多すぎて、かえって危険なので、10爪の方がいいでしょう。
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軽アイゼン(4〜6爪) 軽量で、どんな靴にも付けられますので、基本的には、低山の残雪や夏の雪渓などに備えて持ち歩くものと考えます。冬の雪山でアイゼンを必ず使用すると分かっているときは、重量よりも安全性を重視して、初心者の方は特に、前爪のある12(もしくは10)爪アイゼンの装備が必要です。写真は6爪のタイプです。
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ピッケル 一般雪山登山用のピッケルはシャフトがまっすぐな形状をしています。ブレード(ピッケルの頭部)を握って、石突(下部)がくるぶしから多少下にくる程度が歩きやすい長さです。シャフトを細身にして軽量化を図ったモデルもあります。
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目出し帽 強風の時には、強い見方です。雪焼け防止にもなります。
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サングラス 雪目防止用です。
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ゴーグル 吹雪や強風の時には、強い見方です。スキー用でも結構です。
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ジャケット(防寒着) シェルの内側に着るもので、 中綿の素材はさまざま。それぞれに利点があります。 ダウンは多少の風が吹いても暖かく、パッキングするときには小さくなるので便利です。保温性に優れた化学繊維のものは多少の雨など気にせず着られます。手入れが簡単なフリースは、速乾性に優れているのも魅力です。
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ズボン 動きやすく、保温性、速乾性の高いフリース素材やポリエステル系素材がお勧めです。
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アンダーウエア 動きやすく、保温性、速乾性に優れたアンダーウエアは、汗で身体が冷えるを防ぎます。
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ヘッドランプ
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ザック テント泊の場合は45リットル以上の背中に背負えるものが必要です。日帰りや小屋泊まりの場合は、15〜30リットルのザックでもかまいません。
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シュラフ(寝袋) シュラフ(寝袋)の中綿はダウンと化繊のものがあります。それぞれ長所、短所がありますが、雪山では保温性に優れ、軽くコンパクトに収納ができるダウンがより適しています。ダウンの重量、フィルパワーの数字(大きい程ダウンが良質)、対応温度(冬期甲信越ならマイナス20度程度)などが選ぶ基準になります。
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シュラフ(寝袋)カバー 保温性を高めるだけでなく、シュラフの機能低下を防ぎます。水滴の滴る雪洞でもシュラフを濡らす心配がありません。雨の日、濡らしたくないものを包んでザックに詰めたり、真夏はこれだけに包まって寝るなど、いろいろ便利に活用できます。
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テントマット テントマットは空気を入れて膨らますエアマットが主流です。厚さ3cm以上のマットがお勧めです。
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ハーネス(フリークライミング兼用) マウンテンウエアの上に付けますので、ウエアの厚みを考慮してサイズを選ぶ必要があります。写真はレッグループの調整が可能なタイプで、ウエストやレッグループに衝撃を吸収するよう厚みがあるので、薄着になった時や、フリークライミングにも兼用できます。
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ハーネス(アルパイン用) 厚いシェルを着て、雪山用の手袋をした常態で、簡単に脱ぎ着できることは、雪山ではかなり有り難いことです。雪山だけに使用するのであれば、軽量でコンパクトになるアルパイン用ハーネスがおすすめです。
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安全環付カラビナ 雪山で使いやすいのは大きめでねじ式のものです。オートロック式のものは、ロックのし忘れは無くなりますが、雪山用の手袋をしていると、扱いが難しいことがあります。
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エイト環 安全環付カラビナとセットで使用します。ロープを使って下降するときや、パートナーの安全確保など、いろいろな用途に使います。穴は大きいほうが雪山では使いやすいです。
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プルジック用5mmのロープスリング
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テントシューズ 湿った靴下から履き替えて、テント内で過ごすときに最適です。
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アイゼンケース アイゼンの爪で他の装備を傷つけずに収納できます。
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アイゼンカバー
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ピッケルのヘッドカバーと石突カバー 電車の移動などには必要です。
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ピッケルバンド(リストバンドタイプ)
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