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今年も寒い日本を抜け出して、常夏のプラナンでクライミング三昧をしてきました。 その様子を、クライミングを始めて3ヶ月でプラナンを訪れたYFメンバーの旅行記で紹介します。


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はじめに
YFクラブのメンバーへ いつもビレイありがとう。
NIさん、プラナンで同部屋でしたが、寝る前にクライミングの話を聞いていただきました。
NAさん、コンディションが万全ではなかったようですが、Cobra Wallにある6c+ドッカブリでの上りは真骨頂でしたね。
Tさん、自分のクライミングを追究して下さいね。
エース、Iさん、尊敬してマス。
そして、いつもクライミングの厳しさと楽しさを教えていただいている、アベさん、ナガノさん、スギノさんへ最大限の感謝を!!

2008年11月1〜2日のYFイベント「ロッククライミング甲府幕岩」のとき、 夕食後の雑談のなかでタイ・の思い出話になり、そのときナガノさんが「プラナンどう?」と声をかけてくれました。 ヨセミテの名前は聞いたことがあっても、プラナンてどこ?タイ!? 10月25日に小川山で生まれて初めてフリークライミングを体験して、まだ1週間。 初回のイベントでは人生最大のショーゲキと、恐怖と、感動を味わっていた僕は、 ひそかにドップリこの世界につかることを心に決めていました。 「休みを調整してみます」と言ったものの、この時すでに“自分はプラナンへ行くんだな”とその気になっていたのです。
仕事の休みはほとんどすべて、楽しくてしょーがないYFクライミングイベントへつぎ込み、 1月にはプラナン対策を考えてクライミング・ジム通いも始めました。 気がつけば、人生最高に密度の濃い3ヶ月が過ぎ、さあプラナン物語の始まりです。


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2008年10月25日小川山 2008年11月1日甲府幕岩
2008年11月8日榛名黒岩

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2008年12月27日城ヶ崎
2009年1月10日城ヶ崎


2009年2月4日、8時45分成田空港第一ターミナル集合。 総勢8名、講師陣3名はスギノさん、ナガノさん、アベさん。 生徒はNAさん、NIさん、Tさん、Iさん、みそっかすの僕を入れて計5名。

さっそくトラブル。手荷物検査で液体チョーク200ccが引っかかる。 まじめそうなおねーさんに連行され、売店まで戻って100ccボトル2本の購入を指示される。 けげんな顔で注目されながら、トイレで中身を入れ換える...。 再入場はにっこり笑って、ほぼ顔パス。待っていただいたNIさん、NAさん、ご心配をおかけしました。

バンコクで、別便で飛んでいたTさん、ナガノさんが程なく合流。 ニコニコのナガノさんは「ここに岩があったら、今すぐにでも取り付きたい気分」と、 メンバー中最高のテンションまですでに上がっている...。
タイ国内線に乗り継ぎ、クラビに到着すると、なんと雨模様。しかも結構激しそう。 「エー、まったく雨は考えてなかったよー」とアベさん。 「誰か雨男が...、やっぱり初プラナンの僕かNIさんですかねぇ」 「そうだね」声にほんのちょっととげを感じるのは気のせいですか!?(気のせいですよ、きっと・・・byアベ)

車、ボートを乗り継いで、着きましたプラナン!ライレイ・イースト。 明日は、もうクライミング。早く寝てしまおう。


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着いた! やってきましたクライミング天国、プラナン!!


翌朝7時過ぎよりバイキング形式の朝食。 フルーツのシロップ漬け・ヨーグルトがけと、パンケーキが定番のお気に入りとなる。 この日からほぼ同じ順番で、メンバーが朝食の席へ集まる。一番の早起きはTさん。 初日の早朝、すでに周辺の散策を済ませてきたそうです。 以下はNIさんと僕、NAさんとIさん、アベさん、スギノさん、...ナガノさん。 8時45分に受付前へ集合、この時間に毎朝出発。

プラナン最初の壁は、ライレイ・ウエスト側のThaiwand Wall。 まずは、5(5.8) Inaka をトップロープ(以下TR)で登る。 6a+(5.10bc) Circus Oz はNIさん1番手。 すごいなー、いきなりこの垂壁いっちゃうんだ、パンプしないのかな...。 Iさんは、5のあとにこの6a+をリード、完登。 みんな飛ばすなぁ。6b(5.10cd) Monkey Love をみんなTRで登り、 6c(11b) Equatorial をTさんがトライ。 小ハングした丸石にクラックもあり、力を吸い取られそう。 自分もトライ。長いルートの半分過ぎにある核心で落ちる。 体を大きく使って、全身の筋肉を総動員して登っている感覚、これがプラナンと感じさせてくれる。 落ちちゃったけど、この爽快感。 「いいルートだなー、楽しいなぁー」というと、Iさんに軽くにらまれる。 こ、こわくないんですけど...。そのIさんは、途中フォールするものの僕より一手先を行く。 NIさんも取り付きで苦戦。午前の大トリはNAさん。 鷲頭山でご一緒させていただいてその強さは知っていたので、 「これを登れば、この5人はチーム・NAですね」 ノーテン(トップロープで一度も落ちずに登る)すると確信していたが、思いのほか下部で苦戦して、 結局このチームのエースはIさんと決定。

昼食はライレイ・ベイ。みんな食欲旺盛で、僕もココナツミルクが入ったカレーを食べる。おいしい。 ゆっくり時間をかけて食事をとったあと、午後はWee’s Present Wall。 6a A man can tell 1000 lies、6a+  Hello Christine、 6b+  Same Same but Different の3本。 ナガノさんアベさんも7a+  Shit Restdays をトライしている。 まずは6aから。緊張のためか胃がキューとさし込む。一本目はいつもこうだ...。 6a+はTRで登った後、プラナン初リードでレッドポイント(以下RP)6b+は下部のボルダー部分が核心。 IさんはTRも、かなりかっこよく登っていた。 自分はマッチ(両手を同じホールドに置く)から先左手が出せず、3度ほど落ちる。 どうしたらひじが伸ばせるか考え、左手をサイド気味にかけて右手をクロスでマッチするとうまく抜けられる。 核心のあとに落ちそうになる悪い癖が出るが、何とかノーテンで登る。6a+はリードする人が多かった。


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プラナン最初の壁、Thaiwand Wall

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ゆっくり昼食   苦労した6b+

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Wee's Present Wallは自然の造形美


2月6日午前は Hidden World。6b Space Head Gone Ape、 6b+  Acid-mouth Wife の2本。 帰り際、同じエリアで登っていた青年が「See you Guys!」と声をかけてくれる。 「すぃゆー」と返す。ちょっと嬉しかったが、たぶん先生3人と一緒にいたおかげだろう。

2月6日午後は Cobra Wall。6a+  Snake Whiskey、 6b Old Snake、 6c+  Baby Snake の3本。 6c+は下部がどっかぶりでIさん、NAさんがトライ。NAさんが唯一上までつなげる。 6a+はみんなリードしていた。 僕は上から2本目のスリングを、ヌンチャクがかかっていなかったため飛ばしてしまうが、 終了点のクリップが万全の体勢ではなかったので、ちょっと危なかった...。 クライミングの怪我は自分もちだが、同行者にも迷惑が及ぶ。自己責任で、臨機応変に対応しなければ。大反省。


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Cobra Wallからの眺め
大賑わい

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どっかぶり6c+。次回はトライしたい

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帰りのボートから見た夕日。美しい
クリップをとばしてしまった。大反省


2月7日、本日はレスト日。スギノさんのDWS(ディープ・ウォーター・ソロ)プロジェクトに同行。 NAさんは水が嫌いということで、散策や買い物などを楽しむようです。 ライレイ・ウエストでカヤック4艇を借りて、快適なカヤック・ツーリング。 プラナン・ビーチ沖の小島まで行く。取り付きは海面から切り立っており、貝殻がびっしり付着。 触れるだけで皮膚がザックリ切れそう。スギノさんは本気モード。 チョークを準備してかなりハングしたルートをうかがっている。 基本的にはハングしていないと危ないわけですが...。アベさんも海へ。 イガイガから取りついて、いい感じの高さのところまで回り込んでくる。 僕も同じところから取りつこうとするが、岩が欠けドボン。海水が粘膜に入って苦しいため意気消沈してカヤックへ引き返す。

気を取り直して、別のところから上陸して左へトラバース。 Iさんと合流すると、「ついておいで」とさらに直上していく。 グレードはかなりやさしいのだろうが、まるでおろし金のようなところを、かなり腰が引けた状態で登っていく...。 高さは7〜8mだろうか。スギノさんが様子を見に来て、「わぁー、無理無理」と引き返す。 ボートのナガノさんから撮影準備オーケーのサインが出て、Iさんはあっさり飛び込む。 もう引ける状況ではないので、怖くなってしまう前に飛ぶ。 あれ、まだかなとあせって、ぶわっと恐怖が噴きだすタイミングで、着水。 結構長い時間に感じた...。お尻が痛い。鼻をしっかりつまんでいたので、水中での苦しさはなかった。

そろそろ時間かなと帰りを支度して、海へ漕ぎ出すと、 逆光のなか、NI・T艇が遠く沖のほうから姿を現した...(ように見えた)。 はるかチキン・アイランドへでも上陸して探検していたのかなぁ、と話していたが、 あとで聞いてみるとプラナン・ビーチで食事をしていたらしい(ちょっとビールも飲んじゃったらしい)。

ライレイ・プリンセスへ帰って昼食をとったあと、一人でトンサイビーチまで歩いて散策。 潮は引いていたので海際を通る。

アベさん、Iさんと合流して、落ちても危なくない低いスラックラインを見つけ、 ビデオで撮影してフォームチェックしながら楽しむ。


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カヤックで漕ぎ出す。気持ちいい!

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DWS(ディープウォーターソロ)を楽しむ。

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腰が引けてますよ〜 高さ8mから 意を決して、飛び込んだ!エライ!!


2月8日の午前は、Dum's Kitchen ? On The Beach。6a Schlingel Moritz、 6b Schlingel Max、 6c No Name の3本。

トンサイのレストランでみんな軽めの昼食後、クライミングの前にまずはスラックライン。 今日はスギノさん、ナガノさんも参加。見ていると楽しいので、僕はビデオ撮影中心。 もしかしたら、今回クライミングよりスラックラインを撮った時間のほうが長いかも。 さぁ、カリスマ・クライマー スギノタモツは、スラックライナーとしても非凡な才能を見せるのか。 あやしげな鳥のように上げた両腕を波打たせ、眼光するどく出発。 「ス、スギノさん目がかなり怖いんですけど」バランスがくずれるとCのポーズ(シェー?)。 「す、すごい!耐えてる時間はかなり長いですよ」足元のスリングは横に激しくぶれているが、 シェー(C?)のポーズで数分耐えている。進んだのは3歩ぐらいでしょうか...。 「スギノさん、あのポーズは何ですか?」「ディーン・ポッターがDVDでやってるんだよねー」一流は一流を知る。

イメージトレーニングは万全のようだ。ここでもエースはIさん。 この日の最高記録は13歩でした。ナガノさんは、しおらしい感じでIさんに手をとってエスコートしてもらっている。 ほかのクライマーから格闘家と間違えられたすごい筋肉、足のつめにはモカシムによって染められた紅が...。 「オカマちゃんみたい」とアベさん。 NAさん、NIさん、Tさんは見学。午後のクライミング開始が遅くなってすみません。

午後は Fire Wall。6a The Groove Tube、 6b+ White Hot Hernias、6a+ or 6a 記載名なし、の3本。 トンサイは暑い。ファイヤーウォールの名前の通り、登っていて汗がだらだら出てくる。 記載名なしルートを生涯初オンサイトしたとき、ビレイしていただいたNAさんに汗の雨が降ったらしい。 迷惑な熱帯低気圧クライマー...、ごめんなさい。


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人気エリア。Dum's Kitchen

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No Name 6c。みんなの目標ルートになった

写真の拡大 リードもこなれてきましたね

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国境を越えて、盛り上がるスラックライン

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顔は怖くて、とてもお見せできません。   抜群の安定感スゴイ!


2月9日、午前中は The Keep。6b Monkey's Bum を、 下部コルネへ開くところと終了点へのクリップのときの2度も、ほとんど落ちそうになりながら、6bをリードで完登。 ビレイしていただいたナガノさんと、がっちり握手。 昨日の夜、買ったばかりのトポ・ガイドをベッドで眺めながら“明日の目標はとにかくリード。できれば6bのルートを...”と、 最終日にやっと立てられた目標を、危なっかしくも達成できました。 体はやや疲れているもののヒローコンパイというほどでもなく、心は楽しく、軽い。

エースIさんは体調不良の中、みんなの最高グレード6c Babo does Thailand をTRでノーテンする。 下部フェイスの微妙なバランスのムーブはさすが。 Tさんは核心では一番安定していたものの、フェイスを抜ける直前に落ちてしまう。 「何だ、たいしたことないじゃん」と涼しげに言われ、思わず「落ちろぉ」念力が出ちゃってたかも。自分は全然だめでした。


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本日の目標、6bをリードトライ中   6c核心部手前ガンバレ!   「落ちろぉ」念力発信中?


昼食後、舟でトンサイ・ビーチ奥の小さな砂浜へ行き、浅瀬で船を引いてもらって上陸。 スギノさんが船頭さんと交渉して、夕方6時半にお迎えの約束をとる。 森に足を踏み入れると、ほかのエリアとは植生が違い、高いものは10mを越えそうなシュロのジャングル。雰囲気あるなぁ。

歩いているとどこからか甲高い鳴き声が...サル?ワライカワセミに似ている、鳥か...。 「フフフフッフッフェッーホホホ…ホーホー…」こんな感じ?ん...?この声質は聞いたことある ...「ねぇ、今のナガノさん?」と遅れてやってきたアベさん。 「そうだよ」「なーんだ、すごい雰囲気にぴったりだと思ったのに。もう一回やって」


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船で上陸。Eagle Wallへ
恐竜が出てきそうなシュロのジャングル。静かでいいところ。


Eagle Wallに到着。 スギノさんがルートの準備にかかる。ハーネスなど準備ができていた自分が、おずおずとビレイの位置へ。 リードするスギノさんのビレイをさせていただく。 出だし右へ数メートトラバース後、ルートは右上してビレイ点からは姿が見えなくなる。 ツツッという引きにすばやくロープを繰り出す。それをしばらく繰り返す。 スギノさんにしてはロープの出が悪い気がする。大きな引きがあって終了点に着いたかな、とわかる。 降りてきたスギノさんに「長かったですね」と尋ねると、 「どこが終了点かと思ったよ。ヌンチャク足りなくて7〜8本飛ばしちゃった。 長いんだけどどこが難しいんだろうんなぁ」ビレイ後そのルートを登る雰囲気だったので靴をとりにいく。

ヌンチャクが足りなかったと聞いたので、一応かけたほうがいいかなと判断して、ハーネスのラックにつけていると、 「リードするの?」とアベさん。 ルートの大半を確認できなかったことと、目標達成して気持ちが守りに入っていたので、慎重にTRでいくつもりだったが...。 「は、はい」その後の苦闘を、このときの僕が知るはずもない...。 「登れるよ」スギノさんからこの魔法の言葉をプラナンで2〜3度かけてもらい、 プレッシャーも軽くなりモチベーションアップしていい結果につながってきたと思う。 確かに今回もその言葉を聞いたはずだったのだが...。 「お願いします」ビレイヤーのTさんに挨拶し、ルートへ。

右へトラバースすると、壁はその下さらに落ちている。 出だし変化はあるが、特に難所もない。ただリードに慣れていないため、横に伸びるロープの扱いに迷う。 右上し、垂直に近く感じ始めたところでルートが2股に分かれている。 ボルトはその中間部フェースにあり、どちらからも遠い。 右側のクラックにルートをとり、両手指をねじ込んできまりの甘いまま体をずり上げる。 その先左へのトラバースにホールドが見つけられない...。 さらに、登りすぎてハンガーから離れ、ヌンチャクがかけられないことに気づく。 “ここをクライムダウンするのか”汗とともに恐怖がふきだす。 再びクラックに指を突っ込んで、遠いステップに右足をエイヤッと投げ出す。と、止まった。 “やっぱり左がルートかな…”「右でいいんじゃない」とアベさん。 また右か...。

全身に汗、心に涙。少し休み、心が折れてしまわないうちにオリャッと出発。 なえた両腕でずり上がり、安定したところでクリップ。 左へのトラバースは、フェイスがつるつる。ここで足ブラになったようだが細かい記憶はない。 震える全身をさらに上へ、ガバ(持ちやすいホールド)を求めて。 クリップ位置が横にあるためどんどん体力が消耗していく。 このあたりずっとスギノさんはランナウト(長い距離、確保支点を取らずに登る)したようだ。 小さな穴を見つけ、へとへとになってもぐりこむ。 滝のように汗が止まらない。しばし放心した後、身を乗り出して上をのぞくと、すぐそこに終了点はあった。

下に降りると「登っちゃったの、すごいねー」とスギノさん。えぇっ...。 ふらふらと歩いて座り込む。ふうぅっっーーーっ、生きのびたぁぁぁ。

NAさん、NIさんは、TRでトライ。 大トリはTさん。「もう、リードなんて余計なことしてくれるから(僕もやらなければならないじゃない)」 ぼ、僕に言ってますか!? 弱いものいじめをしないで、上を見て自分のクライミングを追及してくださいね。

結果は、気迫のフラッシング。降りて開口一番、「たいして難しいルートじゃなかったね」とても同意できません...。 ルート名は Speaking Out Loud。 叫びださずにいられない、ではなく“大声で話しましょう”。ながーい30mのルートでした。 もう1本は6a Totem Pole。

夕闇と舟の待ち合わせ時間が迫っていたため、Tさんが降りるのを待ちきれないようにスギノさんが回収に飛び出す。 自分がビレイに入ったが、早送りのように登ってヌンチャクをはずしていくスピードに、 全速でロープを手繰っても追いつかず弛んでしまう。少し待っていただくことに...。 いまさら驚くこともないのでしょうが、元スピードクライミングの日本チャンピオンだそうです。

夜はヤヤで最後の晩餐。炒めたエビとライス。 「エビやばいかも...」「せっかくタイに来たんだから、1回位お腹こわしておけば・・」 この日の食事が原因かどうかはともかく、このスギノさんの予言は当たることになる。


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まるでシャンパンタワー。 Speaking Out Loud 30mの思い出深いルートになった。

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決死のリード中。見守ってるよオ!


2月10日は一応自由行動だが、みんなでトンサイヘ。 静かな闘志のTさんは、Dum's Kitchenにある6c No Name に再トライ。 気迫のリードも、残念ながら完登できず。

Ton Sai Wall では、Iさんが6b Cowabungalow をTRでチャレンジ。 僕は体調不良も言い訳にならず、回収でアンカン(安全環付きカラビナ)を終了点に忘れてくる大チョンボ。 「リードするよ」とIさん。ビレイに集中。 かなりロープが重そうで、クリップに苦戦していたが見事マスタースタイルでRP。 「ごめん、ありがとう」ほんとに、感謝しています。

その後、7a+ Trade Winds アベさんの登りを見学。 「疲れてない」と自分に言い聞かせながら数度のトライ。みんな最後まで頑張るなぁ。

プラナンの締めくくりは、やっぱりスラックライン。 さし込んでいる僕は、砂浜でござの上に丸まって、まどろむでもなく、意識の遠いところでみんなの楽しそうな声を聞いている...。 「Iちゃんすごいんだよ、渡りきって折り返しまで来てるよ」とアベさんがはずんだ声で報告してくれる。 終わっちゃったなー、プラナン。楽しかったなー。


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最終日は自由行動。各自、目標のルートへ


午後6時、感じのいい受付のおねーさんたちと笑顔でお別れ。 「サヨナラ」って言ってくれた。 アオナン・マオヘ向かう船上で、「あそこがキープかな?」Iさんの問いかけに、みんなが思い返していたはず。 登ったエリアはほとんど反対側の海岸だったので、目を閉じる。笑って帰ろーか。

(YFメンバー)


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月日 エリア   ルート グレード 高度
(m)
一言コメント
2/5 Thaiwand Wall 1 Inaka 5 15 プラナン1本目
2 Circus Oz 6b+ 25 人気で登れず
3 Monkey Love 6b 25 二子の悪夢払拭か
4 Equatorial 6c 35 目標にします
Wee’s Present Wall 5 A man can tell a 1000 lies 6a 15 腹イタ初日の緊張
6 Hello Christine 6a+ 20 プラナン初リード
7 Same Same but Different 6b+ 20 一工夫で核心越え
2/6 Hidden World 8 Space Head Gone Ape 6b 15 もっと体を大きく
9 Acid-mouth Wife 6b+ 20 起承転結
Cobra Wall 10 Snake Whiskey 6a+ 25 反省
11 Old Snake 6b 25 もっと柔らかく
12 Baby Snake 6c+ 25 次はトライ
2/8 Dum's Kitchen ? On The Beach 13 Schlingel Moritz 6a 15 リードをこなす
14 Schlingel Max 6b 15 次はリードで
15 No Name 6c 次こそは
Fire Wall 16 The Groove Tube 6a 25 つるつる
17 記載名なし 6a+ 生涯初オンサイト
18 White Hot Hernias 6b+ 16 根性なし
2/9 The Keep 19 Monkey’s Bum 6b 20 根性
20 Babo does Thailand 6c 28 バランス!目標!
Eagle Wall 21 Totem Pole 6a 25 シャンパンタワー
22 Speaking Out Loud 6b 30 今回はこれが全て
2/10 Ton Sai Wall 23 Cowabungalow 6b 25 ありがとう





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