長谷川 充子(はせがわ みつこ)
崎谷 信夫(さきや のぶお)
藤井 弘樹(ふじい ひろき)
副隊長: 岡村 俊明(おかむら としあき)
隊長: 永野 誠(ながの まこと)

以上5名のメンバーにより2005年6月、
「2006年YFマッキンリー遠征隊」が結成されました。
約1年間の準備期間を経て2006年5月30日、
北米大陸最高峰マッキンリー山へ向け日本を出発。
同年6月30日全員無事帰国いたしました。

結果は、以下のとおりです。

氏名 結果 登頂日の体調
長谷川 充子 6,000m地点で登頂断念 高山病、手の指4本凍傷(2度)
崎谷 信夫 登頂 良好
藤井 弘樹 登頂 極度の疲労
岡村 俊明 登頂 高山病
永野 誠 長谷川さんと6,000m地点から下山 良好

長谷川さんは、登頂こそできなかったものの、
その頑張りと気力には頭が下がりました。
登頂まで残すところ標高にして
190m、
力の限りを尽くした
6,000m。
頂上を見上げ断念した彼女の姿は、
誰の目にも清清しいものでした。


簡単にマッキンリー概要と報告で使用する用語について説明いたします。
マッキンリー概要
名称 デナリ山(マッキンリー山)
場所 アメリカ合衆国 アラスカ州 北緯63度
標高 6,194m 北米大陸最高峰
ルート名 ウエストバットレス
参考 七大陸最高峰の1つで、日本では登山家の植村直己さんや山田昇さんが亡くなった山としても有名

用語
LP ランディングポイント 標高2,200m セスナが降り立つ場所。
C1 キャンプ1 標高2,400m
C2 キャンプ2 標高2,900m
C3 キャンプ3 標高3,350m
BC ベースキャンプ 標高4,330m
HC ハイキャンプ 標高5,240m
デポ   後で回収するために、装備や食料等をあらかじめ埋めておくこと
フィックスロープ   あらかじめ張っておく、もしくは張ってあるロープのこと
ワンディプッシュ   荷上げや高度順応等をせずに、毎日、標高を上げて行くこと
レスト   休み



それでは2006年YFマッキンリー遠征隊の登山報告をさせていただきます。
今回の報告は、副隊長を務めた岡村さんの日記をマッキンリー報告とさせていただきました。



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5月30日 (火) 成田→シアトル・タマコ
今日はいよいよ出発だ。 1年間、この日に向けてトレーニングを重ねてきた。 筋肉、心肺、複合運動、 持久力をつける為の週1〜2 回のインドアトレーニングと毎週末のアウトドアトレーニング (雪山登山、アイスクライミング、レスキュートレーニング、ロック/ミックスクライミング、ボッカ)。
特に昨年12月からは具体的なトレーニングを行い、以下のようなプログラムでトレーニングを行った。
12月〜2006年1月 アイスクライミング、アイゼンワーク、ロープワーク
1月後半〜4月 体力トレーニングと弱点補強
4月〜5月 調整、複合運動、心肺トレーニング、グリコーゲンローディング
集合時間12 30 分より少し早く成田空港へ到着した。 すごいな!見送りにYFサポーター全員集合だぁ〜。 今回、仕事の都合がつかず、マッキンリー遠征を断念した吉川さんも駆けつけてくれていた。 あらためて、マッキンリー遠征の大きさを実感した。

15:05 シアトルに向け日本を出発。約 時間 30 分のフライトで同日 8:30 シアトル・タコマ空港に到着。 今日は、シアトルの Best Western Airport Executelというホテルに1泊する。 ホテルに荷物を置き、REI本店へ買出しに行った。

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5月31日 (水)  シアトル・タコマ→アンカレッジ
4:40 予約したバンに乗り空港へ。 ブレーキトラブルのため離陸が大幅に遅れ、アンカレッジに着いたのは 10:40。 アンカレッジは小雨が降っていて少し肌寒い。 今日の宿泊先のAnchorage International Hostel へ到着したのは 11:30。 荷物を置いて近くのスーパー、登山用品店(REI、AMH)を回り、 これからの登山に備えて最後の買出しに出かけた。 全ての買出しを終え、寝たのは 22:00。 外はまだ明るい。

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いよいよアラスカへ出発だ
Western Airport Executelにて
Anchorage International Hostel Hostelフロントにて
永野さんチェックイン


6月1日 (木)  アンカレッジ→タルキートナ
今日は、マッキンリー登山のベースとなる村タルキートナへ出発だ。 予約していたシャトルバスが 7:15 に迎えに来た。 車内には、既に他で拾った登山者が2人乗っていた。 1人は今回で4回目のデナリトライで、まだ一度も登頂していないそうだ。 もう1人はガイド山行での登山らしい。 途中、ウォルマートに寄ってマックで朝食を取り、タルキートナに 10:00 到着。 タルキートナは、郵便局、ハンバーガー屋、ピザ屋、お土産屋等が数件建ち並ぶ小さな町だ。 その、町のメインストリートから少し外れたところに、 私たちが利用するタルキートナエアータクシー(セスナ会社)が所有する宿泊施設(バンクハウス)がある。

今日は、バンクハウスに泊まり、明日の出発に向けて準備をする。 バンクハウスには、シャワー、トレイ、ベッド、市内限定の使い放題の電話、 冷蔵庫、レンジ、電気コンロ、キッチン等が完備されている一軒家だ。 多くの登山家が利用していて、とてもインターナショナルな宿泊施設である。

午後は、最終登山許可をもらうため、町外れにあるレンジャーステーションへ行き、 約1時間半のマッキンリー登山に関する説明を受けた。 その後、セスナの予約確認、パッキング、最終ミーティングを終え、全ての準備が整った。

私たちは、出発前にマッキンリーを一目見ようと、歩いて10分程のタルキートナリバーの河原へ向かった。 はじめて見たデナリ。とにかくでかかった。 ここから何十キロも離れている山がこんなに大きいものか!参ったなぁ、とにかくデカイ。 はるか彼方に見える山肌は、ハンターやフォーレイカーとは比べ物にならないほどでかく、 ピンとこない大きさだった。どのくらいでかいのだろうか?

バンクハウスに戻ると永野さんは、下山してきた登山家に現地の状況を確認していた。 クレバスの位置、雪の質、天候、特に気にしていたのは何故かトイレの状況。 アメリカ人の二人組みは、LPからC1までの道のりでクレバスに
20m 滑落し、 どうにかBCまで行ったが、高山病により敗退したそうだ。 クレパスの状況もかなり悪いようだ。明日に備え 23:00 に皆床に着いた。

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タルキートナの
メインストリート
バンクハウス レンジャーステーション

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レンジャーからマッキンリー登山に関する説明を受ける バンクハウスの庭で荷物を広げパッキング デカイ あれがマッキンリーか タルキートナから直線距離で200kmも離れているのに


6月2日 (金)  タルキートナ→LP
緊張しているのか。ほとんど眠れず朝を迎えた。 朝5時に起きて、デナリを見にいく。 相変わらず巨大で美しい。 誰も居ないレストランのテラスにあるベンチに腰をおろし山岳地図を広げ、 ルートや高度を確認。少し散歩して、 タルキートナ墓地にある植村直己氏の記録を見たり、アラスカ鉄道見たりした。 今朝は随分と静かな朝だ。 すっきりと晴れた朝は、涼しく、気持ちが良かった。 7時頃バンクハウスに戻ると、他のメンバーも起きはじめ、各自の仕度を始めた。 気のせいか、いつもより皆言葉少なげだ。 9:00 予約していたセスナ会社の車が迎えにきた。 いよいよ出発だ。

飛行場に着くと、荷物の総重量を量りセスナ会社に申告する。 1人約40キロの荷物だ。思っていたより軽い。
10:00 私たちを乗せたセスナは離陸した。

空の旅は、快適で、眼下にはアラスカの大自然が広がり、 湿地、森林、山、氷河、川などがドラマティックに分かれている。 とても印象深い風景だ。超巨大な湿地地帯、森林、川、湖、とどこまでも続く大自然。 次第に風景は、氷と雪に覆われてゆく。50分程のフライトだっただろうか、
11:00 LPに着いた。 天気はとても良いが、LPから望むマッキンリー山頂にはいやな雲がかかっていた。

今日はここで一泊する。 テントを張り、雪を溶かして水を作るが、買ったばかりのバーナーということもあり、なんとなくぎこちない。 テントは2張りで、永野さん、長谷川さんチーム、崎谷さん、藤井さん、岡村チームに分かれた。 その後、高度順応とソリを引くシステムを確認するため、1時間程ソリに軽く荷物を積んで歩いてみた。「うん、問題ないな」。

今日の仕事を全て終え、長谷川さん、崎谷さん、藤井さん、私の4人でUNOを3時間くらいやった。 皆、とてもリラックスして良い時間が持てた。藤井さんがクレバーな勝ち方していたな。 明日は、頑張ろう。

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準備完了 タルキートナエアタクシーのセスナ 崎谷さん

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大自然 広大な湿地地帯 山が近づいてくる

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巨大な氷河 いよいよ雪が出てきた 春から真冬へ

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見ている分には綺麗だが
恐ろしいヒドンクレパス
LP到着 テント設営

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今日のLPはとても長閑だ マッキンリーに怪しい雲 このまま好天が続くことを祈ろう


6月3日 (土)  LP( 2,200m )→C1( 2,400m ) 晴れ
7:30 起床。体調も良い。C1に向け 9:30 出発。 1時間30分毎に10分程度の休憩をとりながら、どこまでも続く氷河をひたすら登る。 ザックに15キロ、ソリに25キロの荷物を積んでひたすら登る。 登ること約 4.5 時間。 14:00 C1到着。まずまずのペースだ。

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パッキングを終え
C1へ向けて出発
どこまでも続く氷河を
アンザイレンで歩く
氷河

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容赦なく照りつける太陽 水分補給が大事だ このまま好天が続きますように

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ホワイトアウトした時には強い見方のGPSも今日は必要なさそうだ 無事C1到着 今日もテントを設営して水をつくる

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高所では水はとても貴重だ 夕食はラーメン 静かな夜(白夜)


6月4日 (日) C1( 2,400m ) →C2( 2,900m ) 晴れ
7:30 起床。昨夜も快眠。 10:30 出発。 入山二日目になると、みんなの役割が決まってきて作業もはかどる。 昨日より傾斜がきつくなる。 14:30 C2到着。今日も良いペースだ。

テント設営後、お決まりの水作り。 氷河の上では、水は全て雪を溶かして作る。 1日1人が摂る水の量は、朝
1L 、昼(行動中) 1.5L 、夜 1L で、合計 3.5L 4.5L。 高度順応のため普段より多く水分を摂るようにする。 みんな慣れてきたせいか、役割分担もスムーズに機能し、水作りも早くなってきた。

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今日は風が強くなりそうだ
テント設営は慎重に
高山病予防に水分補給は欠かせない 水作りも早くなってきた

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食欲は依然として落ちない
健康な証拠だ
大きな音と共にいたる所で雪崩が
長谷川さんの右後も雪崩れた
白夜なのでテントの中は
夜中でも明るい


6月5日 (月) C2( 2,900m )→C3( 3,400m ) 晴れ
7:00 起床。 朝トイレに出た際、手袋をちょっと外しただけで手がかじかんだ。 こりゃーかなり寒い。昨夜は −25 度くらいまで下がった。 11:00 出発。傾斜も昨日と比べきつくなり、いいかげんソリが重い。 今日は、休憩時に永野さんがメンバー全員の脈を測った。 私は 84 でまずまず、この時点では体調も良く、歩行中には鼻歌を歌う余裕だ。 しかし、長谷川さんが 120 とかなり心拍数が上がっているので心配だ。 14:20 C3到着。

ここは、殆どのチームが何日か荷上げのため滞在することと、 下山時にも1泊するチームが多いことで、情報の宝庫だ。 色々なチームとコミュニケーションをとり、今後の方針を固めて行く。

明日は、予定通り荷上げだ。 荷上げ品を分け、寝たのは
22:00。 ちょっと高度障害が出てきた。頭の奥がズーンと痛い。

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今日も快晴だ 長谷川さんの心拍数が高い ここには何日か滞在するので いつもより念入りにテントサイトを造った

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神田山岳会の菊池さん、五十嵐さん、伊藤さんと出会った 写真は伊藤さん この寒いのに半袖 腕っ節から見て相当強そうだ 明日は天気が崩れそうだ 太陽の周りにリングが出た

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風も強くなり始めた 少しずつ疲労も出てくる頃だ 疲れた体に鞭打って
高度順応に出かける


  6月6日 (火)
C3( 3,400m )→BC( 4,300m )→C3( 3,400m ) 晴れ・風
7:20 起床。 昨晩は、高度障害が出て頭が痛かったが、今朝は快調だ。 よく睡眠もとれ、体調もいい。疲れもほとんど無い。 毎日、運動後は、 20 分以内に約 400〜600 キロカロリーを摂るようにしている。 また、日々のストレッチも効いているようだ。 毎朝測っている脈と血中酸素濃度(SP02)が昨晩と比べ回復している。 体で感じる高度障害とリンクしており、ちょっと安心。

10:30 C3 を出発。今日はBCまで荷上げをする。 歩きだしの急登(モーターサイクルヒル)はけっこう傾斜がきついため、 歩幅を狭くするよう心がける。そのおかげか、心拍数はどんなにきつくても 140 を超えない。

11:10、 モーターサイクルヒルを登り終えた所で小休憩。 ここは、南からの風が強い。 その後、常に強風が吹くウィンディーコーナーを登り続け、 12:50 ようやく傾斜がなだらかになり、風が弱まったところで再度休憩する。 その後、BCに到着したのは 16:30。 やはりBCでは、酸素の薄さが体に応える。 ここで座り込んでしまっては、高山病にかかってしまう。 皆、フラフラになりながらブロックを積み、 テントサイトを造り、用意してきたツェルトに荷物を残し、 18:30 BCを後にした。 21:00 、C3到着。 ここまで、ワンデイプッシュで登ってきた。ようやく明日は、レスト日だ。

■運動後の栄養補給について■
日本でトレーニングしている時から、運動後
20 分以内に約 400〜600 キロカロリーを毎日摂るようにしている。 これによって筋肉で消費されたグリコーゲンを効率よく回復させることができる。 このことを体に習慣づけたことにより、 栄養補給することで回復へのスイッチが入り、 筋グリコーゲン回復システムの機能向上を高めることができるようになった。 たんぱく質3に対し糖質を1の割合で摂るのが効果的。 補給後、水分を十分摂り( 300 ml程度)、 栄養吸収を促進する。ニュートリション・トレーニングの一環。

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今日は荷揚げだ
天候も良い
ウィンディコーナーというだけあって風が強い BCでの幕営地を造り
デポ品を残して下山する


  6月7日 (水)
C3( 3,400m )→モーターサイクルヒル→C3( 3,400m )ホワイトアウト・風
今日はレスト日だ。 テントでずっとゴロゴロしていた。 15:00 から、高度障害防止のため軽い運動を行う。 これが高所ではとても重要。 モーターサイクルヒルを登り1時間ほどの運動をした。 長谷川さんと崎谷さんがけっこう辛そうだった。 途中、クレバスが2〜3つあったが、みんな十分注意して対応していた。

夕方になり女性クライマーの名塚さんがC3まで下山してきた。 永野さんのテントに入ってお茶を飲んでいってもらった。 彼女は、カシンリッジからマッキンリー登頂をはたし下山してきたが、 足と手、8本に凍傷を負っていた。 2時間ほど色々な話をしてくれて、女性である長谷川さんは、随分と励みになったようだ。

明日はいよいよBC入りだ。 ここまでは、他の隊と比べても好調である私たちだが、本当に大変なのはここからだ。

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今日はテントでのんびり 夕方には日差しも時折出て風もやんだ 凍傷を負ったものの見事カシンリッジから登頂を果たした名塚さん


6月8日 (木) C3( 3,400m )→BC( 4,300m )曇り/晴れ・弱風
7:30 起床。 テントをたたみ、C3にデポする荷物をまとめ雪に埋めた。 10:40 C3を出発。風も弱くわりと暖かい。 11:30 モーターサイクルヒル到着。稜線に出ると、やはり風が強くなる。

17:50 BCに着いた。明日はレスト日だ。

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デポ品を埋める 今日はいよいよBC入りだ 稜線に出るとやはり風が強い

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風が容赦なく吹き付けてくる BCまであと少し BC到着


6月9日 (金) BC( 4,300m ) ホワイトアウト・風
9:30 起床。 レスト日だ!だがヒマだ!朝から雪がずっと降っており、雪崩の音がしょっちゅう聞こえる。 ウェスト・バットレス上部は傾斜がきつく、雪が落ち、氷の壁になっている。

昼からは、酸素不足になっている頭を活性化させるためにUNOや大富豪といったゲームを行い、
16:30 から雪かき。 テント周りは1mくらい雪が吹きだまり、これを取り除くのに1時間程の運動ができた。 17:00 天気予報を見にレンジャーのテントに行くが、何にも出ていない。 強風のため、天気予報を記載したボードをテント前に設置できないらしい。 レンジャーのテントは大きく、ドアや煙突もついている。快適そうだな。

夕食を
20:00 に摂り、水 4L 作って今日の仕事は終わり。 高度順応がかなりうまくいっている。 体が軽い。みんなも体調は良さそうだ。しかし、天候が思わしくない。大丈夫だろうか。

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ドクターとレンジャーが常駐しているメディカルキャンプ 山の天気なので参考程度だが、メディカルキャンプでは天気予報も見られる マッキンリーの南に発生した低気圧が停滞している 付近には異様な雲が


  6月10日 (土)
BC( 4,300m )→WBR( 4,900m )→BC( 4,300m )曇り/晴れ・強風
8:30 起床。 今日は高度順応をかねた荷上げを行う。 ユマールやセルフ用のスリングなどのチェックを念入りに行い、 11:30 出発。 ウェストバットレスをユマーリングで登り、 休憩なしで 16:00 ウェストリブ( 4,900m 地点の稜線)到着。 上部はかなり風が強い。足を踏ん張っていても吹っ飛ばされそうなくらい強い。やばいなこりゃぁ。

なんとか、荷上げした物を雪の中へ埋め
16:20 強風の中、慎重に下山開始。 ユマール操作がけっこう大変だった。 17:45 BC到着。 空には、怪しい雲が立ち込めていた。 上空では想像を絶する風が吹いているようだ。 マッキンリー頂上付近には見るも恐ろしい雲が張り付いている。

停滞している低気圧は何時動き出すのか。 今の状況では、HCへ進むのは不可能だ。 HCから下山してきた隊からの情報によると、少なくともここ9日間だれも登頂していないようだ。 それどころか、HCからBCまで下山することもできず、HCで10日以上も停滞している隊もあるらしい。 ここ、BCでもHCに上がれず10日以上停滞している隊がほとんどだ。 大丈夫かー?明日からの天気は。


20:00 遅い夕食を摂る。 登攀装備の話で盛り上がり、 24:00 消灯。 今日は登りが気持ちよかった。アルパインはスピード感が大事だな。

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上は猛烈な風が吹いている 山腹の雪も吹き飛ばされ氷が青く光っている マッキンリー頂上付近は、恐ろしい雲に覆われている 「荷上げは終わったし、低気圧が動き出すまで停滞だね」と永野さん


6月11日 (日) BC( 4,300m ) ホワイトアウト・風
10:00 起床。 いつもどおり脈と外気温測る。これから停滞が何日続くか解らない。 悪天候のため、下山する隊が続出しているので、食料をもらいにBCを永野さんと一緒にうろつくことにする。 スモークサーモン、マカロニ、パン、ジャム、バター、リーズ、パンケーキ用粉、 粉乳、ナッツ、パワーバー等、色々な物を手に入れた。 停滞中に余るほど食料があると言うのは何よりも心強い。

ほとんどの隊が、今日、明日がターニングポイントのようだ。 日中、何度かテントサイトを見回ったが、 明日の天気しだいで下山又はアタックを決める隊が多いようだ。 BCに早くから停滞しているチームは、食料不足の問題や体力的なことから、 単に天気が回復すれば良いということでもないようだ。 午後になると敗退する隊が続々とBCを後にした。

高知出身のソロイストの峰さん。 今日で入山してから20日目らしい。 C1あたりで高山病がひどく、頭痛・吐き気等、大変だった様だ。 何とかBCまでたどり着いたが、明日の天候を見て、停滞するか下山するかを決定するそうだ。

フィリピンから来ている4人パーティー。女2人、男2人。 彼らは、14日間BCに停滞している。 とにかく明るく、BCのいろんな人と楽しそうに話している。 国からサポートを受けているようで、なんとしてでも登頂するようだ。明日、HCに向かう予定らしい。

岩手から来ている日本人パーティー。今日、WBRからデポ品を回収し下山していった。

福島出身のご夫婦は今回で3度目のトライ。 以前2回のトライでは、BC前に敗退したそうだ。 今日、この悪天の中C3から上がってきたのは彼らだけだ。でも元気そうでなにより。

ノルウェーの大学教授。日本にも2回来たことがあり、富士山も登ったと言っていた。 となりのテントだったので、けっこう話し込んだ。
6月1日 にLP入りしたみたい。

BCでは、色々な隊と出会えて楽しい。 明日の天気はどうなるか。体調も良い。モチベーションも高い。何とか頂上を踏みたいものだ。

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BCでは色々な国の登山家と出会える 朝、国家を歌うフィリピン隊 ノルウェー出身の大学教授
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ソロイストの峰さん 隣のテントのフィリピン隊はいつも元気がいいな 天候待ちは、期待と不安が入り混じる


  6月12日 (月)
BC( 4,300m )→ 200m →BC( 4,300m )曇り/晴れ・風
8:30 起床。 う〜ん、今日も天候は思わしくない。約10パーティーがHCへ向けて出発していた。 みんな我慢できずにHCを目指しているようだ。私たちは、今日も停滞となった。

午後、峰さんは、くやしそうに下山していった。 峰さんからは、食料をたくさんもらって感謝です。 今日のBCは、下山する隊、HCを目指す隊で、なんとなく賑やかな感じがした。


15:00 高度順応するためにトレーニングをはじめた。 かなり早いペースで高度差 200m 程を登った。 他のメンバーは空身だったが、自分だけ 12kg 荷物を背負ってみた。 ついていくのがやっと。 しかし、この高度で 12kg 背負って、このペースで歩けるとは結構驚きだった。 かなり順応が上手くいっているようだ。 長谷川さんは、この 2、3日 体調が優れず、順応も上手くいっていないようだ。 この先、大丈夫だろうか。チーム全体に不安がよぎる。長谷川さん頑張って。

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峰さんが下山を決めた ガイドクラブ筋斗雲の池上さんも駆けつけた(左) 多くの人が峰さんとの別れを惜しんだ いつか、また、どこかで


  6月13日 (火)
BC( 4,300m )→HC( 5,200m )曇りのち晴れ・弱風
9:00 起床。 11:00 には準備を終えて、天候をうかがう。 朝は頂上付近と稜線付近でかなり強い風が吹いていたが、午後になりだいぶ弱まってきている。 BCに入ってはじめてすっきり晴れた。 ハンターやフォレイカーが綺麗に見える。 改めて、高度の高さを感じる。待ちに待った時が来た。 私たちの隣のテントでは、フィリピン隊も準備をはじめた。

12:20 出発。 16:30 WBR( 4,900m )デポ地に到着。 21:00、 HC到着。今日は疲れた。

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朝、依然として風が強い 昼近く、ようやく風がおさまりだした 依然として頂上付近は、風の中だが、今こそ出発の時だ
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フィリピン隊も出発を決めたようだ 久しぶりにフォレイカーが姿を見せた 久しぶりの快晴だ
一気にHCを目指す

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ユマーリングは、かなり辛い WBRからは気の抜けない稜線が続く どこまでも続く
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空気がほしい 雪庇に注意 落ちたらアウト
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頑張れ 果てしなく続くナイフリッジ、苦しいけど、声出して行こう ナイフリッジをいくつもこえる
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もう少しだ、頑張って 一歩がなかなか出ない HCの手前で荷上げを終えた神田山岳会の五十嵐さんと伊藤さんに出会った


6月14日 (水)  HC( 5,200m )→頂上アタック 曇り・風
8:30 起床。 今日は、アタック予定だ。天候は思わしくないが、最悪の天候でもない。 テントの外にでると、ほとんどの隊が頂上アタックに向けて準備を進めている。 11:00 多少視界が良くなったのをきっかけに、各隊がいっせいにスタートを切った。 今日、登頂する隊は出るのだろうか。私たちは、いろいろ情報を集めながら、天候の様子をみる。

12:20 私たちも出発。風は弱風、曇り。みんな元気そうだ。 気合を入れて最初の急登デナリパスへ。 HCからデナリパスまでは、平らな雪原を約 300m 程あるくが、この 300m 40 分もかかった。 気持ちはあっても足が出ない。次第に風も強まり、雪も降ってくる。 デナリパスの取り付きは、とても急で、ほとんど雪壁といった感じだ。 永野さんがリードで登って行く。 出発して、3時間が経過したが天気が回復しない、完全にホワイトアウト、風もどんどん強まっている。 先行しているパーティーは大丈夫だろうか?

今日のアタックを中止し、テントへ戻る。 視界が無く、さっきまで見えていたHCがまったく見えない。 ホワイトアウトで下が見えないからいいようなもので、 このアイスバーンでは滑落すればピッケルによる滑落停止はほぼ不可能だろう。 途中には無数のクレパスが口をあけ、たとえ、クレパスを回避したとしても、
1000m もこの硬い氷の上を滑り落ちれば結果は言うまでもない。 酸素不足で足がガクガクする、寒い、苦しい、早く下りたい、しかし、体が思うように動かない。 とにかく、忍耐が必要だ。

テントに戻り、
1.5 時間うたた寝したのが失敗だった。 これまで一番キツイ頭痛が出た。う〜ん、けっこうツライ...やってしまったな。 ちょっと、気を抜いてしまった。

この4日間、明け方から昼にかけて、ガスが取れ、風が弱まる傾向にある。 早朝は、気温も低く、日も当たらないので、頂上アタックには適していないが、 もし、登頂できるとすれば、この時間帯しかないという結論がでた。 現に、今日、頂上アタックした隊は、頂上を踏むことができず、全員、敗退して帰っている。 先ほどの強風を上部で受けた彼らの数人は、凍傷にやられている。明日、早朝出発でもう一度アタックする。
22:30 消灯。

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なんでもない、平たんな道もスピードが出なくなってきた いよいよデナリパス、慎重に行こう リードする永野さん
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次第に風が強くなってきた アタック中止を決定 来た道を戻る


  6月15日 (水)
HC( 5,200m )→頂上( 6,194m )晴れのち吹雪・風
4:00 起床。 「岡村さん、今なら行ける」永野さんの声で目がさめた。 外に出てみると真っ青な空が広がっている。 今日はやるぞ。朝食を摂り、 5:00 HCを出発。

どれぐらい歩いただろうか。
5:00 に出発してからデナリパスを登りきったところで一度休憩しただけで、ひたすら上り続けている。 休憩したくないわけではない、しかし、一度足を止めると、もう、歩けなくなるような気がする。 とにかく登り続けている。 お昼を過ぎた頃だろうか...ここはアラスカのマッキンリー山、標高 5,900m あたり...フットボールフィールドという雪原...目の前には最後の急登、 そして、頂上がそびえている。尋常な高度じゃないな。とても苦しい。

相変わらず、日差しが強くサングラス無しでは目も開けていられない。 ザックを置き、休みをとる。 皆、極度の疲労のせいか、高度障害のせいか、会話が無い。 この高度&気温では、寒さのためか、のどの渇きをあまり感じない。 ただ、水分を十分に摂らないと、脱水による運動能力の低下や高度障害にみまわれる。 スポーツ飲料の粉を入れたボトルでのどを潤す。ほぉっと少し活力がもどる。


30分 くらいは休んだだろうか...時間の感覚が無く、ただボーーとしていた。 長谷川さん、がんばるな、彼女の足どりはフラフラで、立っているのもやっとといった感じ。 そう、ここは標高 5,900m。 北極圏に近いアラスカでは酸素濃度が薄く、 赤道付近の 7,000m 峰に匹敵する。 6つのキャンプで徐々に高度を上げ、高度順応しているとはいえ、この高度で激しい運動はできない。 老人の杖のようにピッケルをつき、小さい歩幅でゆっくり登る。

リーダーの永野さん、唯一女性の長谷川さん、藤井さん、崎谷さん、そしてサブリーダーの自分。 全員ここまで登ってきた。 長谷川さんの疲労が激しく、雪原に立ちつくし頂上付近を見つめてボーっとしてる。 「長谷川さん!あそこが頂上ですよ...行きますか?」突然、永野さんが強い口調で訊いた。 「私...行きたい!」このほか、小声でボソッと何か言ったがよく聞こえなかった。 この答えは意外だった。 アンザイレンしている時、私の前を歩いている長谷川さんは限界を超えているように思えた。 この急登を登ることは不可能ではないか。

私たちは、チームを2つに分けることにした。 永野さんと長谷川さん、その他男3名。 「じゃあ、行けるとこまで行きましょう!」二人は私たちより先に歩き始めたが、長谷川さんの足が動かない。
10m 程歩いて止まってしまった。 しばらくすると、また、歩き出す。 永野さんの 10m 後を今にも止まりそうに長谷川さんが歩いてゆく。 数分後、また止まり、今度は腰をおろしてしまった。 しばらくして、 5m 程歩くが、また止まり永野さんと何か話している。 その後、2人が抱き合い、握手をしたのを見て私たちにも状況が把握できた。 長谷川さんよくここまで頑張ったね。

アンザイレンのロープを結び直し、私たちも歩きだした。 あっという間に彼女に追いついた。 「そうか、ムリか...」。2人は下山することになった。 フットボールフィールドのちょうど真中あたりだった。 目の前の頂上。走ってでも登れそうな距離、しかし、ここではそうはいかないのだ。 「じゃあ、あとはサブリーダーに任すから、必ず登頂してきて!」と永野さん。 厚い手袋ごしに、ぐっと握手を交わし、「最後、気合入れていくぞ!!」「うっしゃ、」アドレナリンが出た。 アンザイレンしている二人も応えるように気合いを入れた。 「絶対!登頂してきます!」再び握手し、二人と別れた。 「とにかく進むしかない...無事、登頂できるのだろうか? トレースは分かるか?ホント帰れるのだろうか?天気はこのまま持つのだろうか?」と、いろんな思いがよぎる。

フットボールフィールドから見上げる頂上は、最後の急登『ピッグ・ヒル』を登り、左上する稜線上にある。 先頭が自分でヒルを上り始めた。 さすがに辛い5歩あるくたびに立ち止まる。
30、40分 経っただろうか...ヒルを登りきり稜線に着いた。ひどく気分が悪い。

「アンザイレンのロープを引っ張らなきゃ」と思ったその時、急に真っ白になって、気がついたら吐いていた。 ショックだった。 山登りや運動中にこんな気分悪くなったことにショックだった。 こんな状態で頂上までたどり着けるるのだろうか。 アンカレッジのサガヤ(スーパーマーケット)で、みんなで買出しした時のことを思い出してた。

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5月31日 (木)---------
サガヤのフードコートで永野さんが、 「じゃあ、だいたい食事や日程の説明は終わり...サブリーダーの件だけど、こないだ話したとおり...岡村さんお願いしますね!?」 「もし、リーダーが居なくなったら、全てサブリーダーの指示に従ってください」、と言われたことを思い出してた。
「私達はチームで登る。チームの方向性は、リーダーの判断で決まる。 チームの強みは、荷物を分散できたり、仲間と励ましあったり、達成感をみんなで共感したり。 ただ、このチーム編成が諸刃の剣になる場合もある。 一人が敗退すれば、チーム全員が登頂をあきらめないといけないこともある。 特に、BCからHC、HCから山頂までは、チームが別れて行動することは、うちらに限って無い。 まあ、みんなの登山レベルが高ければあてはまらないけど。」
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我に返る。ここは、ピッグヒルを登りきった稜線、おそらく
6,100m は越えている。 首を2、3回振り、アンザイレンのロープを引き上げる。 15分 くらいたってヒルを登りきった二人は、とても元気そうだ。 考えた。自分一人でここで待って、二人だけ頂上に行ってもらうか、三人あきらめるか、三人で登頂するか? ここで別れるのは、あまりにも危険。 天候がこのまま良いとも限らない。 頂上まで無事にたどり着けるかもわからない。下山できるかどうかさえ、わからない...いろんな不安が頭をよぎる。 冷静になるため、少し休憩することにした。 とにかく異常に呼吸が速い。その時は、考える余裕が無かったが、軽い脱水症状を起こしていたと思う。

いろいろな思いがよぎる。 全ての決定権を持っているのは自分で、このアタックに対するチーム5人全員の気持ちや思いということを考えた。 ハラは決まった、登頂するんだ。 崎谷さんに先頭を替わってもらい、私たちは歩き始めた。 出発してすぐに天気が悪くなった。風が吹き始め、ホワイトアウト状態。視界は
20m 程度、雪も降ってきた。 ただ、気温は低くない、まだアラスカ湾の低気圧が、湿った南風を吹かせているな...天気が悪くなってきていたけど、 最悪な天気じゃない。

ちょっと小高い丘の向こうに、棒みたいなものが、いくつかささっている。 「着いた...」本で読んだとおりだった。 頂上に着いたとき、達成感より、ホッとしただけだったという文章を思い出した。 そのとおりだな。ただ、ホッとした。 「とりあえず、写真だけ撮って、とっとと下りましょう」崎谷さんが言った。 その通りだな。ホワイトアウト状態で全然見通しが無く、あまり長居したくない場所だ。 早くこの苦痛から開放されたい。

下山するときに、みんなに説明した。 「まず、絶対に下山する。これだけは間違いない。 ただ、どうしても下山できない時、例えば一人が動けなくなったときや、 トレースが完全に分からなくなった時は、ビバークする。 幸い、うちらは、スコップ2本とスノーソーを持っているので、そんなに大変ではないだろう」。 私の気分は一向に良くならず、アンザイレンしているロープに引っ張られたり、積雪で足をとられ、 何度かぶっ倒れて、失神するかと思ったくらいだった。 「永野さんたちは、何処にいるのだろう...」 ここでビバークしたら、すごく心配するんだろうな...そうなったら、明日、探しに来るだろうか...それとも...。

どのくらい経ったのだろう、時間の感覚が全然分からない。 ホワイトアウトの先に人が見える。 先頭の崎谷さんが何か話していて、その人が永野さんだと分かったときはホッとした。 よかった。ホントよかった。登頂したことを告げ、握手を交わした。 長谷川さんは雪壁に穴を掘っていた。 寒さ対策のため、ビバーク用の穴を掘っていたみたい。いろいろ話した。 トレースを見失いそうなこの場所で待っていたこと、 逆算して
18時 頃にはここに着くことを予想していたこと、 ロープが無いとデナリパスを下れないこと、 全員で下山すること、登頂したこと、気分が悪くなって吐いたこと等々。 とにかく一安心だ。

私たちは、再び下山し始めたが、いかんせん辛かった。 あまりにもキツく、永野さんに弱音を吐いてしまった。
21:00、 デナリパスを下りきった。 テントは直ぐそこだが倒れこんでしまい、しばらく動けなかった。 1時間くらい休んで、テントまで移動する。

ながいなが〜い、1日が終わった。 入山して14日目、登頂できて本当に良かった。 みんな無事でなにより。それが、一番だった。今日はよく働いたぁ〜。寝よ。明日は下山だ。

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デナリパスから上の稜線を見上げる 風が強そうだ デナリパスよりHCを望む 稜線からの景色は雄大だ
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稜線にでるとやはり風が強い 風と寒さの中、ひたすら進む 天候がいつまで持つか
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空気が薄い フットボールフィールドから見上げる山頂と長谷川さん 登頂
岡村(左)藤井(右)
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登頂
藤井(左)崎谷(右)
吹雪の中を下山 テントに着くと仲間が出迎えてくれた


6月16日 (金)〜 18日 (日)
6月16日、 私たちはHCを後にBCまで下山。 17日、 BCからC1まで、一気に高度を下げ、 18日 昼過ぎに無事LP到着。

登りほどではないが、下山も言うまでも無く辛かった。 しかし、不安やプレッシャーは無く、登頂した喜びと自信を胸に、目に映る全てが美しく見えた。

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翌朝は、快晴 皆に見送られてHCを出発 別れは、寂しい 来た道を慎重に下る 左下に見えるのがBCだ
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15日の登頂日、天候急変により、長谷川さんが4本の指に凍傷を負った 今日は最終日、LPまで頑張りましょうと永野さん 了解、最後、気を引き締めて行こう


6月19日 (月)〜 30日 (金)
タルキートナの町に下りてきた私たちは、 3日間の休息後、思い思いに残った日々を過ごした。 長谷川さんと崎谷さんはタルキートナの町に残り、藤井さんはアンカレッジへ。 私と永野さんは、しょうこりも無くレンタカーでクライミングの旅へ出発。

それぞれに、アラスカの旅を満喫したようだ。


下山後のタルキートナにて
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下山後、久しぶりにピザを囲んで、のんびりと食事を楽しむ 下山直後の藤井さん
こんなにやつれちゃった
下山後のタルキートナ毎日がお祭りみたいで楽しい
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今日は、永野さんがマスを沢山釣ってきた、久しぶりの魚料理だ バンクハウスでのんびりと過ごす この町で色々な物を食べまくろう


アンカレッジにて
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レンタカーを借りて、いよいよクライミングトリップの始まりだ アンカレッジにある
アラスカロックジム
最初に訪れたのは、アンカレッジから30分程のスカーという岩場
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ルートによってはボルトがサビサビ、ルートを選ばないと危ない 岩ももろい こりゃ、明日は移動だな


ハッチャーパスにて
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ここハッチャーパスにはアルパインルートが沢山ある スラブだが、フリーも楽しめる クライマーから情報を収集 明日の岩場を決める
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スラブアンドクラックルートが多い ナチプロは必需品 しかし、いい所だな


ウィナーレイクにて
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ハッチャーパスで情報をもらいウィナーレイクへやって来た やってる、やってる トポが無いので情報収集 一番簡単なのが5.11c!うそでしょ
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しょうがない 11cから登る 次は12c 岡村さんやる?結構です クライミング後は、毎日釣りだ



私も、釣りの魅力に取り付かれ、現地にて道具一式を購入。 毎日、クライミングとフィッシングを通して色々な人々と出会い、 野宿での約 10日 間を満喫した。

今回のアラスカでの1ヶ月間は、目標としていたマッキンリーの頂上を踏み、 一生涯忘れることのない素晴らしい旅となった。

岡村 俊明(YFメンバー)



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